『幸福の智恵』にはそのテーマにもみられるように、智恵と知識が生きる上で重要なものとして繰り返し本文に出現します。
ユースフ・ハース・ハージブはその序文にも「人類の価値が、知識と智恵にある。」と述べていますが、ここでは彼が言う智恵と知識の違いについて説明します。

1680、人は無知で生まれて徐々に知識を学んでいきます、
   知識を学べば成功し良い地位に着くことができます。
1681、生まれたばかりの人間に知識はなく、
   学ぶことによって、得られていくものです。
1682、一方で、智恵は人が学んで得たものではありません、
   それはアッラーが人を作った時に与えた天性です。
1683、智恵以外のすべての美徳は、
   人は学んで身につける事ができるのです。

智恵は神から与えられたもの、すなわち先天的なものだと述べています。知識に関しては自身で得ることができる後天的なものであると言っています。


154、智恵ある者は尊敬を受け、
   知識ある者は高い地位を得る。

156、知識の価値とはなにか、知識は答えを導く、
   知識があれば病も治すことができる。

161、智恵をもって仕事をすればなにごとも達成でき、
   知識を用いて時間を管理すれば、時間を無駄にすることはない。

かれは本文の中で智恵と、知識という言葉を繰り返し述べており、その二つの重要性を説いています。

そして、

310、智恵は錬金炉のようなものである、
    王宮に蓄えられる財宝のように、それはたくさんの知識を集める。

先天的な智恵が後天的な知識を集めるのです。

その一方で
305、知識が少ない人を軽蔑してはいけない、その益も多い、
   智恵が少ない人を少ないと言ってはいけない、人はみな価値がある。

どの人も軽んじてはいけない、相手を軽んじればそれが損失となってしまうことがあると、
戒めています。