ある日、国王は満月を召して、自分のそばに座らせました。
満月は言われた通りにそばに座りますが、目を伏せたまま黙っています。
そこで国王は尋ねます。
「満月よ、どうしたのだ。なんで黙っているのだ?」

満月は答えます。
「王様、このようなしもべがどうして王の命令なしに口を動かすことができるでしょうか?」

961、もしだれかがあなたを必要として側に呼んだのなら、
   彼を先に話させてから、あなたはそれに答えなさい。
962、尋ねられもしないのに、多くを話すことは、
   家畜と呼ばれても仕方がない。

966、赤い舌は黒い頭の敵、
   たくさんの頭が舌によって葬られた、
967、舌という剣を遅めなさい、
   舌はいつもおまえの頭を威嚇する、頭を守れ。

国王は言いました。
「お前の話は分かったが、生きている限り話さないことは不可能である。もちろん、二種類の人間を除いてだ、一つは口の利けないもの、もう一つは愚か者。愚か者は言葉を隠し秘密にすることはできないため、口を閉ざしたままがよい。知識ある者こそは舌の主人となり、そこから流れ出る話はすべての場所を祝福する。」

満月が答えます。
「陛下、ご理解ください。舌の禍は時に自分の命も危うくします。人は生きていくかぎり、話をしないではいられません。だからこそ、必要なことは言葉を選んで話すべきなのです。もし発言するのであれば、問われるのを待ち、問われるまで沈黙を守った方がよいのです。」

王は言いました。
「確かにお前の話はそのとおりである。しかし舌が引き起こすのは害ばかりではないはずだ。利点もあるはずではないか。舌の禍を恐れすぎれば、お前の有益な話も聞けぬでないか。」

満月は答えました。
「確かに、言葉の利点はたくさんあります。ぺらぺらと話すことは災いをもたらします、しかし、的確に話には大きな利点があります。
愚か者は、牛のように腹いっぱい食べて、空虚な話に明け暮れて、それを自分の肥やしにします。
反対に、知者は体を痩せ衰えさせても、知識あることを喜び、心を豊かにします。
肉体の栄養は喉から入りますが、心の栄養は善い言葉で耳から入ります。知識の証というものは二つあり、その二つがあれば人は幸福を得られるのです。
一つは舌、もう一つは喉。
それをうまく使える者は、幸せを得られるのです。
知者は言葉と飲み食いの主であるべきです、舌と喉を上手につかうことこそ、知識のなせるわざなのです。」