満月は、さらに国王に尋ねました。
「善人は悪人になれるのでしょうか?その悪人に善の痕跡は残るのでしょうか?」

国王は答えます。
「善人には二種類いる。一つは、生まれつき善人で、正しい行いを続けていく。
もう一つは、善人をまねているだけの者である。もし彼が悪人と交われば、悪に染まっていくのである。
そして、悪人にも二種類に分けられる。一つは生まれついての悪人で、その穢れは死ぬまで洗い流すことができない。もう一つは悪人をまねている者である。彼が善い仲間をもつとその影響で正しい道に戻る。」

881、母親の乳からあたえられた善い資質は、
    死ぬまで変わることはない。
882、先天的にそなわった性格は、
   死のほか壊せるものはない。
883、母の胎内で育まれた性格は、
   ただ墓のなかでのみ消えていく。
884、善人をまねた人間が悪い人間のなかにいれば、
   彼も仲間のような悪人になっていく。
885、だが、もし彼が善い人びとと共にあれば、
   ともに正しい道を歩んで行くだろう。

「人が善くなるのも悪くなるのも、近くの環境に影響されるということだ。悪人が権力をもてば、善い者は消え去ってしまうだろう。善人が権力をもてば、悪人は根絶されるであろう。」

満月は、国王に尋ねました。
「人々は善行は善行を生むということを知っています。皆、善行を愛し、それを願っています。しかし、それはどのように得られるのでしょうか?」

国王はこう答えました。
「優れた賢人たちは、善行が価値あるものだと知っている。しかし、それを得ることは簡単ではない。悪行には価値がないが、安物を得るのは簡単なのだ。」
905、善行は高山の急な坂道、
   誰もが登れるものではない、
906、価値あるものを得ることは難しく、
   愚か者には見つけられない。

満月は聞きます。
「では善行には欠点はあるのですか?」

国王は答えます。
「善行は讃えられているが、悪人は善行の欠陥を弱さだと言う。悪人たちは善い人々を弱い者として軽蔑し、善い人びとにそそぐ太陽をさえぎっては迫害する。だから、善い行いをしようと願うなら、悪人たちの軽蔑や迫害を恐れずに行いなさい。」

928、善人が善行を悔いたことがあろうか、
     悪人は自分の欲望と引きかえに後悔に苛まれる、
929、悪事は後悔と悲哀をもたらす、
   善いことを為せ、悪事を厭え。


満月は、国王の正義に感銘を受け、国王を讃えました。そして、喜びいっぱいに家に帰り、その後も朝早くから夜遅くまで日々怠ることなく国王に仕えました。